2025年4月19日 晴れ
冒頭は率直な言葉から始まった。本来なら沈黙すべき禁忌だったはずなのに、私たちは目と目が合うわずかな瞬間に、お互いの存在をそっと許してしまった。その一瞬は、千の言葉よりも重かった。
終わりはきっぱりと終止符を打つべきだった。けれど、それは含みを持たせた「つづく」になった。本当なら潔く背を向けるべきだったのに、私たちは曖昧なやさしさで怒りを隠し、別れの言葉さえ交わさずに沈黙で距離を置いた。あなたは何も言わなかった。私も何も聞かなかった。ただ、その沈黙が、ゆっくりと終わりを告げていた。
私は、あなたと物語の全体を描こうとした。安心を添えて、貪欲にもう一文を期待しながら——けれど何度読み返しても、その物語の中に「私」の名前はどこにも見つからなかった。まるで私は、あなたの文章の中にある省略記号のようで、声なき存在のようだった。
私たちはいつからか、言葉にできない秘密をそれぞれ抱えたまま、知らぬ間に他人のようになっていた。伝えたかった想いは、背を向けた後の沈黙で、すべて明らかになってしまった。
どうか許してほしい。私が泣くことで、この物語の序章を締めくくることを。あなたが沈黙で別れを示すなら、私は苦笑いで結末を訳すしかない。物語の鍵となるのは、いつだってあなたで、その主軸は、巡る切なさと惹かれ続けた想いだった。
あなたが無言を貫いたその先で、私は気づいた。私という存在は、あなたにとって名もなき過去にすぎなかったのだと。