木陰に一匹の蝉が 君のそばに落ちた
驚いた君は よろめきながら
僕の肩に飛び込んできた
頬を赤らめた君の顔は
まるで千の桜の花のよう
懐かしいね あの高校の二年間
君の青春が 今も変わらないと願っているよ
まだ覚えてる 桜が咲く季節
でも あの頃の僕は 君に想いを伝えられなかった
春の訪れとともに いつかまた会おうと約束した
だけど 時代の流れの中で
それぞれの道を歩き続けた
離れたり 惹かれたり ただ待っていた
花びらがまた舞い落ちる日まで
それが恋だったと ようやく気づいたんだ
恋人ではなかったけれど
確かにそこにあった あたたかな気持ち
帰り道の細い坂道 自転車を走らせながら
君の歌声を ずっと聴いていた
もう あの声を聞くこともできない
ただの友情だったと 言い聞かせていたけど
間違いだったんだね
でも もう戻れない
まだ覚えてる 桜が咲く季節
目を閉じて 未来を夢見たあの春の日
だけど 時代の波に流されて
気づけば 僕らは違う道を歩んでいた
すれ違い 心が通じ合った日もあったけれど
結局 君とは恋人になれなかった
それって 悲しいことなのかな
時は流れ 街も変わり
思い出の場所は もう壊されてしまった
大人になるのは こんなに早いものなの?
もしも 桜がまた咲くなら
今度こそ 君にこの想いを伝えたい
だけど あの頃の公園は
今では苔むした石畳
もしも 君と偶然出会えたなら
路面電車で海を越え
ほんの一瞬 視線が交わるだけ
そして またすれ違うんだね
昨日の花は もう今日の花ではないから